8人制大会

2012年11月20日
東京都サッカー協会 香取氏(三鷹高校)

8人制大会
―その特徴と指導者の意識について―

1.8人制の課題と狙い
11人制に比べ、子供達に試合機会を与えるためにチーム数が増える→試合数が増える→試合会場や審判が不足する、等の
課題が発生する。それでも8人制はU-12世代の成長のためには重要な特徴を多く持つている。その8人制のメリットを指導者は
十分に理解して適切に指導して行くことが重要になる。尚、U-12の重要課題はしつかりした技術習得だが、ゲームに活きる
技術の習得が大切である。
参考)実践でのボールタッチ数
4人制
5人制
8人制
11人制
5分当たりの
ボールタッチ
128回÷ 4人
125回÷ 5人
123回÷ 8人
72回÷ 11人
40分間での
プレー回数.
30-40回/人
20回/人

2.日本のサッカーの方向性
(ア)ゴール前の攻防の強化
@ 日本サッカーは得点カアップが最大の課題
A そのためには、実践の中でボールに多くタッチをしてテクニックを磨く、シュートシーンを多く作る(経験する)ことが重要
B シュートシーンが増えると攻撃、守備ともに質が高まる
参考)8人制と11人制のデータ(1試合当たり)
11人制
8人制
ペナルティエリアヘの侵入回数   1.5回/人   3.8回/人
シュート数   1回/人   3日程度/人
C 8人制の特徴
● 手数をかけずにゴール前にいける→ゴール前の攻防(仕掛け)が増える→攻撃と守備の質向上
(イ)「全員で動きプレーに関わり続ける」サッカーの確立
@ まずは育成する世代の以下の内容を考える。
● 有効に関われる距離
● 見渡せる距離
● 蹴れる距離
A その世代(U-12等)にふさわしいゲームのあり方を考える。
B そのためにはピシチの大きさも重要(上記の距離だけでなく、いろんな判断ができる適度なスペースが重要)
3.なぜ8人制なのか
● ボールを奪った瞬間に多くの選手が動き出してプレーに関われる。
● GKも含めてほぼ全員がボールタッチして得点が奪える。
● 全員が攻守に関われる。(関わらぎるを得ない。)
● 各人がゲームに関われる時間が長い。
● 全員が良いフットボーラーになれる経験が増える。
4.1人制審判の推奨
(ア)たくましいプレーヤーの育成に重要な以下の点が生まれる。
@ 主審の笛が鳴る&副審のフラッグが上がる場面が減るため、プレーを続けようという強い意志が生まれる。
(勝手な判断でプレーを止めることが少なくなる。)
A プレーに集中し、すぐにプレーを再開する習慣が生まれる。
→子供達の本来の姿である上記(@、A)のことを大切にできる。
B そのためには指導者、審判が上記のことを十分に理解し、笛が鳴るまでプレーを続けることが良いことであることを
認識し、そのような指導をする必要がある。
(イ)審判の技量が上がる
@ 常に集中し、常にボールや選手を把握できる場所にいることが必要になるため、自ずと良い動きを覚える。
A 必然的に、ゲームを読み、選手とコミュニケーションを取りながらコントロールすることができるようになる。
(そうしないとジャッジが大変になる)
B 審判が良い黒子になることを体感できる。
5.VTRから感じたこと(全日本少年 東京都中央大会から)
(ア)8人制の良いところ
@ 適度なスペースがあるため積極的な仕掛けができる。
A そのために攻守の切替が早く(局面の変化が大きく)、全員が攻撃も守備も頑張ることになる。
B ゴール前の攻防が圧倒的に多くなるため、体を張つた守備をするようになる。
(イ)試合中の指導で重要なこと
@ リスクは成長のために重要(リスクを回避しているばかりでは子供は育たない)という意識で、試合中は指示をする。
A 安全策(ゴール前では大きくクリア等)ばかりの指示をしない、積極的なチャレンジや子供達なりに考えて行つた
ことをほめる、等を常に心がける。
6.育てることと勝つこと
(ア)サッカー(スポーツ)の本質が競争であることは間違いない。
@ 選手は勝つことに最大限に努力する。
A 子供達が勝ちたいと思つてプレーをすることは大変重要である。
(イ)育てながら勝つことを目指す。
@ その年代ですべきことを勝つためになおざりにしない。
A パーフェクトスキル、技能の獲得を徹底する。(その場合の技能とは、ゴール前の攻防や積極的な攻守のスキルを含む)
(ウ)勝つことを指導者のモチベーションにしない。
@ 子供達の将来の成長を第一(本当のモチベーション)にする。
A 育成の指導者の本当の勝利は後からついてくる。 .
(工)育てるために試合でも以下のことが重要である。
@ 全員がプレーする。
A さまざまなポジションでプレーする。
→その中で子供達が最善を尽くして勝とうとする内容(や姿勢)を応援する:
B 練習してきたことを積極的にトライする。
→良い失敗と悪い失敗(消極的、アンフェア)を見分け、良い失敗は認める
7.最後に
(ア)子供達のサッカーは将来も続く。この年代で完結するわけではない。子供達の将来のためにU-12でやるべきことをしっかりとやる。
→そのための8人制
(イ)8人制を活かすも殺すも指導者の意識が重要である。
→勝つために「ロングボール多様」「オーバーラップ抑制」「審判への抗議」を行つてはいけない。
(ウ)育成サッカーのフィロソフィー(オシムの言葉)
「今日の結果ではなく、子供が明日、どんなプレーをするかを楽しみに指導すること!」


                      以 上



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