「暑熱対策・外傷の救急処置法」
財団法人 日本サッカー協会 サッカー指導教本 2002年度版より出典。

2.暑熱対策
  真夏の炎天下で激しいスポーツ活動を行うと、熱中症という病気になることがあります。
 重傷になると死に至ることもあり、指導者は選手を十分に観察しながら指導しなければなりません。
  熱中症の病型、病例は下表にみられるようなものがあります。
@熱中症の病型、病例
       
病 態
症 状
1.熱失神
皮膚血管の拡張による循環
不全
顔面蒼白・めまい・呼吸の増加・脈拍
が速くまたは弱くなる・血圧低下・失神
2.熱疲労
大量発汗による脱水
脱力感・倦怠感・めまい・吐き気・頭痛
3.熱けいれん
血液の塩分濃度の低下
上・下肢の筋肉に痛みを伴った痙攣
4.熱射病
体温上昇のため中枢機能が
異常を起こした状態
異常な体温の上昇
意識障害
 応答が鈍い
 言語がおかしい
 意識がない
死亡する場合有り

A熱中病の予防法
  熱中病を起こさないようにするためには次に挙げる予防法が必要です。
 ・暑い時に無理な運動をしても効果は上がらないので、環境条件に応じた運動、休息、水分補給を行う。
 ・熱中症は急に暑くなった時によく起こります。体温調節能力には暑さへの慣れが必要なので、暑さに慣れるまで
  軽い短時間の運動から徐々に運動を増やしていく。
 ・常に水分を補給することが大切です。体重の3%の水分が失われると運動能力や体温調節能力が落ちます。
  夏合宿を行う時は毎朝体重測定をして、合宿前と比べて体重が落ちていないかに注意することが必要です。
 ・吸湿性や通気性の良いウェアを着用する。ヤッケ等の着用はしないようにする。

B水分補給について
  水分補給の具体的な方法としては、一度に大量に補給すると血液の濃度が落ちてしまい、運動能力が低下してしまうので、
 運動開始前にあらかじめ250〜500mlの水分を取り、運動中は15〜20分毎に牛乳ビン1本分(約180ml)の水分を補給するのがよいでしょう。
 また水分だけでなく発汗とともに失われたミネラルやエネルギー源を補給するためのスポーツドリンクやオレンジジュースを取ることも良いでしょう。
 さらに4〜5℃の冷えた水分を取ったほうが体内吸収も良く、体温の上昇を防ぐことができます。

C熱中症が起きた時
  もし熱中症が起こってしまった際は次に挙げる救急処置が必要です。
 ・運動をすぐ中止し、涼しい場所で休ませる。
 ・水分を補給する。
 ・頭部を低くし、手足を末梢から中枢へ向けてマッサージする。
 ・冷水で体を冷やし、周囲よりあおぐ。
 ・体温上昇が著明になり、意識障害が出現したら速やかに医療機関へ受診させる。(ひどくなる前に救急車を呼ぼう

3.外傷の救急処置法

 選手がケガをした場合、指導者はケガの状態を確認し、救急処置を行わなければなりません。
@打撲、捻挫、肉離れのなど場合・・・・RICE処置(内出血を最小限に食い止める方法)
 R:Rest→安静にする
  I :Ice→氷で冷やす
 C:Compression→圧迫する
 E:Elevation→拳上する
A皮膚に傷がある場合
 異物の除去
 止血
 拳上
B骨折が疑われる場合
 上下2関節固定

ひどいときまたはよくわからないときは救急車を呼ぼう

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