成長期のトレーニングについて
 成長期のトレーニングについて

 休日など子供にサッカーを教えていると、「どこまで鍛えても良いのだろう?」とか「どれぐらい集中的に行って良いのだろう?」なんて思ったことありませ
んか?私が知っているレベルですと「過度な負荷をかけるトレーニングは成長期の子供には発育上良くない」と一般的には言われますが、このサジ加減
が良くわかりません??そこで成長期の子供にはどんなトレーニングをすべきなのかを調べてみましたのでご覧下さい。

●年代に合った正しいトレーニングをしよう
 将来、プロスポーツ選手などを目指す子どもにとっては、大人になったときにスピードに満ちあふれたパワフルなプレーを持続できるような身体づくりが
必要です。限りない可能性を秘めた子供たちが、このような身体を手に入れるには、子どもの頃からのトレーニングがとても大切です。しかし、大人のト
レーニングをそのまま当てはめて真似をするだけでは、身体づくりどころか、逆に身体を壊してしまう結果を招きかねません。将来の目標に向かって突き
進むためにも、各年代に適したトレーニングというものが必ずあるのです。各年代に特別に発達する体力要素というものがあって、その年代を過ぎてし
まうとなかなか身につかなくなってしまうのです。「鉄は熱いうちに打て」という言葉通り、各年代に発達する体力要素を、正しい方法と適度な強度でしっか
りとトレーニングする必要があるようです。

●スキャモンの発育曲線
 成長期のトレーニングを考えるとき「子どもは大人のミニチュアではない」ということを念頭におかなければなりません。成長期には、大人と同じトレーニ
ングをするのではなく、成長期の体の特性をよく理解することが重要です。この特性を説明するとき「スキャモンの発育曲線」(下図参照)というグラフをよ
く使います。成長発育を20歳のレベルを100%として考え、各体組織の発育の特徴を以下の4つのパターンに分けてグラフ化したものです。

 −発育曲線の説明−

★一般型の発育曲線★
 一般型は身長・体重や肝臓、腎臓などの胸腹部臓器の発育を示します。特徴は乳幼児期まで急速に発達し、その後は次第に緩やかになり、二次性徴
が出現し始める思春期に再び急激に発達します。思春期以降に再び発育のスパートがみられ大人のレベルに達します。

★神経系型の発育曲線★
 器用さやリズム感をになう神経系の発達は、脳の重量や頭囲で計ります。出生直後から急激に発育し、4・5歳 までには成人の80%程度(6歳で9
0%)にも達します。

★リンパ系型の発育曲線★
 リンパ系型は免疫力を向上させる扁桃、リンパ節などのリンパ組織の発達です。生後から12・3才までにかけて急激に成長し、大人のレベルを超えま
すが、思春期すぎから大人のレベルに戻ります。

★生殖器系型の発育曲線★
 生殖器系型は男児の陰茎・睾丸、女児の卵巣・子宮などの発育です。小学校前半まではわずかに成長するだけですが、14歳あたりから急激に発達し
ます。生殖器系の発達で男性ホルモンや女性ホルモンなどの性ホルモンの分泌も多くなります。  

●成長期の運動
 上記の発育曲線のなかで、スポーツに直接かかわりがあるのは、リンパ系以外の3つです。これを参考に成長期の子供達の運動を4つの時期に分
け、各時期にどのような運動が適しているかを考えます。

◆幼児期(3歳〜6歳)
重点ポイント:楽しむ、基本的な運動動作の習得
 この時期は、巧緻性やバランス感覚などが発達するので、様々なスポーツを遊び感覚で体験させることが重要です。そのなかで基本的な運動動作(走
る・跳ぶ・蹴る・投げるなど)の習得を目指します。またこの頃はスポーツとの出会いの時期でもあり、気軽に楽しく運動できるような配慮が必要です。よっ
て、専門的な技術を指導する必要はなく、サッカーにこだわらず本人が喜んでやることを積極的にサポートし、「こうやるともっと上手くできるよ」「上手に
できるね」などの声を掛け、本人のやる気を養うような指導をしましょう。

小学生低学年(7〜10歳)
重点ポイント:バランス感覚、身体の使いかた 
 神経系は10歳で大人のほぼ90%が完成されると言われています。神経系、つまりいろいろな動きや身のこなしを身につけるのに一番適した年代で
す。小学生の低学年のサッカー少年・少女は、あまり体力のことは考えずに、たくさんボールにさわって、キックをしたりドリブルなどをすることによってと
ても上手になるといえます。とくに見てマネをするということがとても大切なことです。ドリブルやキックなど上手な選手のマネをしたり、先生やコーチのフォ
ームをしっかり目に焼きつけて練習するのがよいと思います。また、できればサッカーだけでなく水泳や野球、バスケットボール、ドッヂボールなどのほか
のスポーツを楽しんだり、鬼ごっこや鉄棒、運ていなどの遊びをすることもとても大切なことです。このような遊びの中からサッカーの動きづくりも自然に
身につくのです。サッカー選手を目指す人は、サッカーボールをまるで手で扱うのと同じような感覚で足であやつれるようになればしめたものです。

小学校高学年(11〜12歳)
重点ポイント:身体の使いかた、すばしっこさ
 小学校高学年のサッカー少年・少女は、きっとサッカーが楽しくて楽しくてしょうがないという年代でしょう。この年代はサッカーのミニゲームや1対1の勝
負をどんどんやることです。またフェイントなど、たくさんの種類のテクニックを身につける練習もしましょう。そのような技のヒントをつかむためには、Jリ
ーグやワールドカップなどの試合をたくさん見てください。好きな選手やチームのコーチの技を盗んで自分のものにすると、サッカーがもっともっとおもし
ろくなるはずです。そうやって身につけた技をゲームの中で何度もチャレンジしてみましょう。失敗を恐れず成功するまで試してみてね。
 ご父兄の方々はクラブのトレーニングがあった日はお子さんに「今日はどうだったか」「上手にできたのか」など聞いてあげてください。それで上手にな
っていたら必ず誉めてあげてください。それによって、子どもたちはもっとやる気が出て、上達の近道になるはずです。もし上達しなくても、頑張れるよう
に励ましてあげてください。人との比較ではなく、1週間前、1ヶ月前よりも少しでも上達していれば、それだけで素晴らしいことなのです。

◆中学生
重点ポイント:持久力
 中学生の時期は主に一般型の呼吸・循環器系の発育がさかんになるので、持久力をつけることを主眼におきます。有酸素運動をたくさん取り入れ、ね
ばり強さをつけます。この頃には専門種目が決定することが多く、それによりトレーニング内容も変化していきます。
 またこの時期の筋力トレーニングについては、専門家の間でも意見が二分します。いずれにせよ中学生は各人の成長の差が大きいので、慎重にプロ
グラムを組まなければならないことは間違いありません。
★筋トレ否定派の意見★
 筋の発達は生殖型で表される男性ホルモンと関連するので高校生以後が顕著となる。よって筋力トレーニングは高校生以降におこ なったほうが効果
的であり、若年者ではむしろ骨、関節の過負荷につながり障害の原因となる。
★筋トレ肯定派の意見★
 負荷をかけてトレーニングをすると筋自体は増加しなくとも筋への神経の電気的信号の頻度や強度が高まる現象 が起きる。これば実質的に筋力をア
ップすることを意味する。また子供の内に正しい筋力トレーニングを教えておけば年齢が来て本格的なトレーニングを開始したときに大いに役にたつは
ず。子供の筋力トレーニングは体の負担が大きくなり過ぎないよう低負荷をかけて行うべき。

●練習量
 サッカーや野球などの少年スポーツでは、毎日練習し、日曜には複数回の試合をこなすといったスケジュールでトレーニングを実施しています。この様
な状況ではほとんどの選手が、オーバートレーニング状態となり、将来オスグッド病(サッカー)・野球肘・リトルリーグ肩などに悩まされることとなるわけで
す。最近のデーターによると、1週間の練習時間の総計が14時間を越えると、極端に障害の発生頻度が増加するとか、1日2時間の練習時間だとする
と最大でも週4日に押さえるのがよいと言われています。それ以上になりますと、スポーツ障害と呼ばれる腰痛や膝痛などのケガにつながるらしいので
す。したがって、幼少年期でのトレーニングではスポーツ障害をいかに防止するかということを第一に考えて練習スケジュールをたてる必要がある様で
す。

 サッカーの具体例が見つかりませんでしたが、う〜〜ん...かなり練習抑えてますね。野球では肘・肩の故障が多いため、ここを中心とした練習規制
なのでしょうが、サッカーに置き換えれば膝・足首などで考える必要があるでしょう。試合翌日は練習オフ、毎日の練習は膝・足首などへの負荷をなるべ
く抑えて1〜2時間程度といった感じでしょうか?

●あとがき

 オリンピックやプロ選手の過去の競技成績をみてみると,子供の頃から活躍していた選手もあれば,いわゆる大器晩成型であとになって脚光をあびる
ようになった選手もいます。どちらのタイプでもその競技を継続できたことが栄光をつかんだ最大の要因と言っても過言ではありません。そのような結果
を生み出すために我々ができることは、長く続けられる環境を整えてあげることです。そのためにはトレーニング内容だけでなく、子供の心を大切にし、
子供が理解できる指導をし、楽しくスポーツをさせることが大切です。ある時は厳しく・ある時は優しく、メリハリをつけ、子供達の向上心を煽りながらサッ
カーの指導をしていきたいものです。
以上のことはあくまでも一般論であり、子供の発育には大きな個人差があることを念頭に置き、個人に適した指導を考えなければなりません。また、成
長期には特有の内科的、整形外科的な疾患があります。痛みや体調不良の訴えがある時には、すみやかに専門医で受診し相談することも重要です。
アフターケアーも忘れずにね!




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